音者に関しての基礎知識

Report No.1
  • 音者の存在が初めて確認されたのは2005年。
    音楽研究特区として現乙ヶ三地区が開拓され発展し始めた頃合いである。
    また、奇妙なことに、今日に至るまで音者は同地区でのみ観測されている。
  • 音者は既存のどの生物とも合致しない生体システムを持っていると考えられる。
    実体を持ちながら食事を必要とせず、さながら意思を持った「幽霊」の様に其処に居る。
    だが一つ彼等の生存に欠かせないものがあった。
    確かな人の手によって創られ奏でられる「音楽」である。
  • 音者には其々、核となる音楽の「ジャンル」が存在する。
    彼等は己の核となる「ジャンル」の音楽を聴くと他の物に比べて力を得ることが出来るらしい。
    逆説的に、特定の「ジャンル」の音楽が多く溢れている場所には、その「ジャンル」を核とする音者が多く集まる事だろう。
  • 音者は特定の人間、それも音楽家に対して「契約」を持ちかける事がある。
    「契約」と呼ばれる行為は即ち深い縁__陰陽道で云うところの式神と使役者の様なもの__を結ぶものである。双方の同意の下に、音楽家が自身の手で音色を奏で、音者が其れに応える事で成立するとされる。「契約」を結んだ音楽家は、その音者の核となる「ジャンル」の才能が芽生えるとされ、また、「ジャンル」が合致している者は新たな楽器の才能を得るとされている。
    尚、この事象が明らかとなってからは、音楽家から「契約」を持ちかける事も増加した。